僕はキミに恋している。

 

 

 

 

空には白い雲と、眩しく輝く太陽。

僕の前にはキミが居る。

 

キミは僕を見上げて優しく微笑む。僕が大好きな表情だ。

僕の背にある太陽が眩しいのか、目を細めてそのまま僕に手を伸ばす。

その腕を引っ張って、僕の方に寄せられたら・・・どんなに幸せだろうか・・・。

 

けれど、僕だけを見てくれる視線が嬉しくて、今・・・出来る愛情表現でキミを一途に想う。

 

淡いピンク色の花びらを風と共に宙を舞い、キミの髪や頬にそっと触れる。

それだけで僕は充分・・・。だって、それしか出来ないから・・・。

 

 

 

『僕は桜』

 

 

巡ってくる四季の春にしかキミに触れられない。

キミの視線を独り占めする事も出来ない。

 

叶わないと思っても、何度も流れ星に願った・・・。

人間になれなくていいから、せめて花びらが一年中、咲き乱れる様にと・・・。

 

けれど僕の願い決して叶わない。

 

ずっと咲き続けてキミの近くに居る事も、想いを伝える事も・・・。

 

僕は所詮、桜の木。

 

 

「キミが僕の近くに居てくれるから、綺麗に花を咲かせるんだよ???」

 

そう言って、僕の気持ちに気づいて欲しいと思ってしまうのは、キミが好きだから。

無謀だと分かっていても、この気持ちは変わらない。

 

 

キミが望むなら、いくらでも美しく咲き誇っていたい。

また来年、今年以上に綺麗に咲いてキミに僕を捧げよう。