告白
ある街のある道路。
そこに二人の高校生らしき少年が歩いている。
時間的に言えば、二人は家に帰る途中なのだろう。
一人は金髪の髪で制服をだらしなく着ている不良タイプ。
もう一人は黒髪で制服を完璧に着ている優等生タイプ。
金髪の男の子の名前を信長と言い、
黒髪の男の子の名前は政と言う。
一見正反対のような二人だが見てる限りでは仲は良いらしい。
信長が政に話しかける。
「なあ、政って女の子に告白したことあるか?」
政はいきなりの質問に首をかしげる。
「は?お前知ってるだろ?無いよ」
「だよな。俺も無いんだよ」
信長はしみじみと話す。
「なんだ?したいのか?」
政はそんな信長の様子を見て聞いた。
「いや、そうじゃないけど疑問に思うことがあるんだ」
「何だ?」
「あのさ、告白の言葉で結果って変わるもんかな?」
「は?」
政はまた首をかしげる。
「いやさ、カッコいい言葉を言ったらOKしてくれそうじゃないか?」
「それはあるかもな。言葉で酔わせるってやつだろ?」
「おお! それそれ!でも良くそんな言葉知ってるな」
信長が驚いたように政を見る。
「このくらい普通だよ」
政はさも当然のように言う。
「それじゃ、その博学さを生かしてくれ。どんな言葉ならOKもらえると思う?」
政は少し考えて言う。
「……分からん。」
「は?」
政の予想外の言葉に信長は驚く。
政に何かを聞いて分からないと言う答えは初めてだったからだ。
「経験が少なすぎる。信長は何か浮かぶか?」
「うーん、俺は普通に『好きだ!』 かな」
「でも、それじゃ普通すぎるぞ」
「なら 『大好きだ!』 だな」
「……あまり変わってないぞ」
「『キミに惚れたよ』はどうだ?」
「…キザなだけだ」
「『キミの瞳に乾杯』は?変わってて良いだろ?」
「…そんな言葉を思いつくお前の頭に乾杯だよ」
「じゃ、『キミと一緒にどこまでも行きたい!』ならいけるんじゃない?」
「一人で行って来てって言われたら寂しいだろうな」
「う〜ん、『キミしか見えないんだ』これなら効くだろ?」
「それは告白する前に目医者に行くべきだろう」
「なら何だよ?」
信長が痺れをきらしたように政に聞く。
「やっぱり告白の言葉で結果は変わらないんじゃないか?」
政が結論を出す。
「そうなのかな?でも、それって何か悲しくない?」
「それが現実だろ」
「それじゃ、告白のときにプレゼント攻撃はどうだ?」
「物で釣るのか?」
「まあ、悪く言えばそうだな」
「何で釣るつもりだ?」
政の質問に信長は少し考えて話す。
「やっぱり…定番はバラの花束か?」
「でもあれって嬉しいのか?もらったら困りそうだけど」
「そしたら逆に一輪の花とか?」
「それは良いかも知れないけど…そんなので気持ち動くかな?」
「動かない…よね」
信長がためいきをつく。
「今の世の中で女の子が動くプレゼントって言ったら…」
政のそんな言葉に信長が続ける。
「マンションとか宝石とかだよな…」
そんな信長の言葉にうなづく政。
「でも、逆にいくら金をつまれても動かない女の子だっているさ」
政がフォローする。
「だよな。世の中そんなに捨てたもんじゃないよな」
信長の顔が明るくなる。
政がさらに続ける。
「やっぱり告白するときはカッコつけないで自分の気持ちを精一杯ぶつけるのが一番さ」
「それでも向こうの気持ちが動かなかったらどうするんだ?」
「そんな女……やめちまえば良い」
「政にしては珍しく無茶苦茶だな」
信長が笑いながら言った。
「たまにはな」
政も笑いながら答えた。
そして二人はまたくだらない話をし始めた。
終わり