14・死神
「死神」
別にそう呼ばれることに抵抗する気はない。
艶やかな漆黒の髪を腰辺りまで伸ばした、同じ漆黒の瞳を持った少女が人気の無い廃墟を彷徨う。
髪と眼の色と同じ、真っ黒なドレスを身に纏い、霊のようにふらふらと彷徨う。
死神と呼ばれることに抵抗を感じるわけではない。
「・・・・・いた」
とある一室に、無惨な死体がごろごろと。
少女は無表情に遠慮無く近寄っていく。
辺りは血と死体の腐った臭いで充満している。
今朝、襲撃があった城。
無惨にも人っ子一人生き残っていない。
死神と呼ばれても仕方ないとは思っているが。
「inakarusayyoiisaamatureoyamas ・・・」
自分にさえ聞こえるか聞こえないかの声で、詩のように小さく呟く。
刹那、少女の周囲・・・・否、部屋全体が青白い光に包まれる。
「・・・・さようなら」
少女の仕事は、地上に残る彷徨える魂を浄化、成仏させること。
まぁ一種の死神と変わらないような気がする。実際自分は死んでるし。
次の仕事は地上で暴れている自縛霊を浄化させること。
少女は表情を崩すことなく鎌を取り出した。