お題88「食事」 合同企画「スクランブル!!」の琴音と「風の音楽」の鈴のお話です♪


私は河原田 琴音。蒼穹学園大学の2年生。今日は久しぶりに高校時代の友達とお食事・・・待ち合わせ場所に着いたのは・・・30分前・・・いや、早く来るの癖なんだ・・・。

 

「琴音ちゃ〜ん!早いね〜」

・・・30分前に着いたというのに友人は5分後に来た・・・この子も相変わらずだ。

「鈴ちゃんこそ早いよ♪」

「でも琴音ちゃんの方が先に来てたじゃない」

この子が私の友人。宇佐美 鈴ちゃん。今は山洋学院大学に通う同じく年生。鈴ちゃんとは高校2年、3年に同じクラスだった。私たちが通ってたのは地元、空田町にある私立花滝女子学園という一応古くからのお嬢様校で知られている中高一貫の学校。

「じゃあブラブラしながらレストラン行こうか♪」

鈴ちゃんがそう言ってゆっくりと歩き始めた。私と鈴ちゃんはかなり似ているらしい。見た目もなんとなく似てるし、話し方とか・・・性格も似ているけど基本的に鈴ちゃんはリーダー的存在、私はというと微妙・・・考え方とかも似てるけどまあ相違はあるね。一番似てるといったら・・・やっぱりアレかな。

「ねえねえ、琴音ちゃん、蒼穹は新人演奏会何出すの??」

レストランに着いて、席に座るや否や飛び出した話題は・・・やっぱり箏関係。

「うち?うちはね『海きらら』」

うん・・・私たちは2人とも箏をやってる。サークルにも入ってるんだ。鈴ちゃんは箏曲研究会、私は和楽器研究会。ちなみに新人演奏会っていうのは毎年四月下旬に学生三曲連盟が主催する各大学の箏・三味線・尺八を演奏するサークルの新入部員たちでその1年間の成果を見せる演奏会のこと。というわけで今回は私や鈴ちゃんも出演するというわけだ。

「山洋は??」

「うちは『OKOTO』だよ♪」

「・・・ごめん、知らないや・・・」

「いいのいいの、琴音ちゃん古典派だもんね〜ちなみに私もさっきの海なんとかっていうの知らないし」

私たち2人は共に古典曲が好きで流派も山田流。そんなこんなで気が合ったりする。

他にもいろいろ共通点はあるんだ。身長がいっしょで・・・学科も鈴ちゃんは社会心理学科、私も心理学科・・・それと・・・。

 

「私たちの話題ってどうしても箏になっちゃうよね」

その後もしばらく曲のこととかの話。とりあえずお互いに頼んだ料理がきたのでそれを機に違う話題にしてみようかななんていうのが鈴ちゃんの試みみたい。

「他の私たちぐらいの女の子って・・・どんな話してるのかな・・・」

「あ〜もうアレだね、ダントツに恋話」

鈴ちゃんの答えに唖然とした・・・。私と良ちゃん―あ、ちなみに一番大学で仲の良い私のお友達なんだけど―ではそんな話題はしてない。

「はは、琴音ちゃん、そんな話題ガラじゃないくちかな?」

「・・・あ!何さ!鈴ちゃんこそじゃないの!!」

「そうかもね♪」

性格そっくりとか言われてるわりに私と鈴ちゃんとでは余裕さが違う気がする・・・。

「そんなムキにならなくったっていいじゃないの♪琴音ちゃんは純粋さがウリなんだからさ!」

「そんなのウッてないから!!」

どうしても純粋=おこちゃまに聞こえる・・・。そりゃ・・・今私が食べてるのもハンバーグで子供っぽさ全開だけどさ!

「でもま、恋してるっぽいよね♪なんか琴音ちゃん雰囲気が乙女チックになってるし♪」

「なってない!!」

む〜と睨むと鈴ちゃんはリゾットをマイペースに食べながらにこやかに笑っていた・・・まずい、圧倒的に鈴ちゃんの方が大人になってる。

「まあさ・・・私たちは、恋はしても恋話で盛り上がるなんてこと、しずらいかもね・・・」

鈴ちゃんが声のトーンを落としてそう呟いた。

そう・・・私たちのもうひとつの共通点・・・。

私たちは好きな人を亡くした。

鈴ちゃんの好きな人は病気で他界。

私の好きな人は・・・自殺した。

「ね、琴音ちゃん、あまりひきずりすぎないようにしないとダメだよ」

「え?」

鈴ちゃんは大人びた表情で私を見た。

「私だってたぶんひきずってると思う。でも・・・琴音ちゃんはそのことで必要以上に自分を責めてない?」

そうかもしれない・・・でも・・・ひとつだけ大きく私と鈴ちゃんとでは違う・・・。

「だって・・・私はあの人を助けてあげられなかった・・・」

鈴ちゃんの好きな人は病気だった。生きたかったのに生きられなかった・・・。

「何かしてあげられたはずだったのに・・・もしかしたら今も生きていたかもしれないのに・・・」

私の好きな人は自ら死を選んだ・・・。助けることは充分可能だったのに・・・できなかった・・・。

鈴ちゃんは哀しげな微笑みを向けていた。一呼吸おくと、鈴ちゃんは食器を食べ終わった形に置いて、合掌した。

「食事ができるってありがたいよね・・・」

鈴ちゃんの話題の転換か??ずれた内容に私は首を傾げた。

「ね、なんで私たちは食事するんだと思う?」

「え・・・おなかすくから・・・」

「まあそうだね・・・もしおなかがすいても食事できなかったらどうなるかな?」

「・・・飢えちゃう」

当たり前の答えだけどあってたみたいで鈴ちゃんは頷いた。

「ようは生きるために食事してるんだよね・・・まあ私たちは恵まれた環境の人間だから楽しむために食事してる気もしなくもないけど・・・生きるためだね」

“恵まれた”これは鈴ちゃんがよく自分のことを指すときに使う言葉だった。

「私も、琴音ちゃんも“今”を生きるためにこうして食事するんだよね」

ちょっとよくわかってないような感じだったので相槌をうって返事した。

「だからね、今を精一杯生きようってことなんじゃないかなって思うんだ。それなのに・・・過去に囚われすぎてるのは矛盾だと思わない?」

「矛盾・・・してるかな・・・」

「こうして日々食事をとってる人は“今を生きてる人”・・・前に進もうとしている人のはずなんだ・・・でも琴音ちゃんはいつも後ろを振り返って・・・立ち止まってる気がする・・・」

鈴ちゃんは何かを思い出すように遠くを見た。

「しぃちゃんが言ってた・・・過去の思い出も食事といっしょなんだよって・・・それを食べて、またこれからの活動力にするんだよって・・・」

鈴ちゃんの表情は寂しそうだったけどとても優しいものだった。しぃちゃんっていうのは・・・鈴ちゃんの初恋の人。

「私はね、しぃちゃんのこと忘れられるわけないし、今でも生きていてくれたらって・・・思う。後ろを振り返る時もあるし、立ち止まることもある。でもね、その思い出を振り返って、しぃちゃんといっしょにいれた時間を宝物にして、しぃちゃんがくれた思い出をいっぱい食べて、またがんばろうって思うんだ」

鈴ちゃんの瞳には悲しみの色というより希望に満ちたような清々しさがあった。私にはそれが無いから・・・すごく羨ましく映った。

「あ、琴音ちゃん、ちゃんと合掌した?」

「あ、ううん!してない・・・」

「ちゃんとしなきゃだめだよ。食べられてくれたモノに感謝しないとね・・・これで私たちはまたこれからの活力を得られるんだから」

「そうだね・・・」

私たちに栄養やエネルギーを与えてくれるための食事・・・またこれからもがんばろうと思わせるような思い出・・・それに感謝しないとだめだよね。

「じゃ、改めて合掌!」

「うん『ごちそうさまでした』!!」

ありがとう・・・これで私は今日も、明日も元気に活動できるよ・・・。

 

 紅茶を頼んで、またサークル活動のこととかを話して、時間が過ぎていった。

「じゃ、そろそろ帰ろうか♪」

鈴ちゃんに言われ、私も同意してレストランを出た。

 

「あ、鈴ちゃん出てきた♪」

「にゃ!?ゆうちゃん本当に来たの!?」

外に出ると、茶色の髪の男の子が鈴ちゃんに話しかけた。ん?“ゆうちゃん”あ、サークルの唯一の男子部員の子か!(さっき話で聞いた)

「だって夜道は危ないでしょ?」

「・・・いや、本当に来るつもりでメールしたとは思わなかったから・・・」

「まあ現に来ちゃったから、送ってくよ、どうせ僕たち家近いんだし♪」

「じゃあ・・・お願いするよ」

なんとなく微笑ましい気分で鈴ちゃんたちのやりとりを見守る。

「な〜んだ♪鈴ちゃん彼氏いたんだぁ〜♪」

「な!違うから!!」

からかう口調でそう言う。鈴ちゃんは慌てた感じになってた・・・へえ〜。

「おむかえに来てくれる男の子だなんていいじゃない♪いいなぁ〜」

「だからなんなのさ!!」

鈴ちゃんもなんだかんだいっていじられキャラだな・・・ちょっと安心。

「じゃあもう帰ろう!行くよ!ゆうちゃん!!」

「は〜い♪」

“ゆうちゃん”という人が鈴ちゃんの後についていく。すると、何を思ったか私の方を振り返った。

「えっと・・・琴音さんだったよね?」

「え?あ、はい」

「・・・たぶんさっきの人琴音さんのこと迎えにきてるんだと思うんだけどなぁ・・・」

「へ?」

そんなはずは・・・誰も呼びつけてないし。

「じゃあね〜これからも鈴ちゃんと仲良くしてあげてね♪」

そう言うとその人は鈴ちゃんに追いつくように小走りになった。

 

それにしても・・・誰が迎えに来てるっていうんだろう・・・。

 

ひとつだけ大きな疑問を抱えながら私は歩き出した・・・。

 

鈴ちゃんと楽しくしゃべりながらとったおいしい食事と、思い出という名の目には見えない食事で心を満たされた幸せな気分になりながら・・・。


〜あとがき〜
合同企画「スクランブル!!」の琴音の外伝的なお話でした♪琴音も鈴も基本的にモデルは私です(苦笑)
ただし琴音はネガティブ寄り、鈴はポジティブ寄りといったニュアンスを持っています。この2人が語り合ったらどうなるのかな〜なんて思ってたらなんか書いてみたくなったのです(ぇ)そしてもう書いちゃいました(何)もう2人は同じ学校に通ってました設定にしちゃいました(横暴)
鈴の方が人間的に琴音より成長した感じになってます。あくまで前向きな子なんで♪
鈴と優の関係は・・・なんなんでしょうね(笑)べつに恋人同士ではないですよ☆
さて、琴音を迎えにきているのは誰なんでしょうか??正解は無いです♪相手役とか決まってませんからね♪
選択肢としては、1水上さん 2修也さん 3幹也くん 4良ちゃん 5おかあさん(ぇ) ですかね(訊くな)
さて☆琴音の恋愛が気になる方は企画展示室のページから「スクランブル!!」にとんでみよう♪(宣伝/笑)